胸焼け、胃痛、吐き気
胸焼けや胃痛(みぞおちが痛い)、むかむかして吐き気がする、というような症状で受診される方が非常に多いです。
ほとんどは逆流性食道炎といって、胃の中で食べたものを消化するために分泌されている胃酸が胃の中だけにとどまらず、食道の方に向かって逆流しているために生じる症状だと思われます。
みぞおちのあたりの症状だけではなく、のどが詰まったような感じが続いたり、咳が続いたり、のどの痰を出そうとして咳き込んでも出なかったり、というような症状にもつながります。
治療は胃の中の酸分泌を少し抑えるような薬を使いますが、薬を使っている間はほとんどの患者さんの症状は良くなります。ただ、胃の入り口や食道の下の方の締め付けが緩くなったために逆流しているということであれば、薬をやめても症状が再発しないように、薬を飲んでいる間に改善できる生活習慣を改善する必要があります。
①夕食をとってからすぐにゴロンと横になってしまうような習慣の方は逆流しやすい、②アルコールやチョコレート、脂肪食、たばこなどは逆流させやすい、③いつもいつも暴飲暴食の方は逆流しやすい、④太っている人は逆流しやすい、⑤激しい運動をすると逆流しやすい、などは有名です。ただし、以前から時々言われていることで誤っていることがあります。「右側を下にして横になれば大丈夫」と言われることがありますが、実際には右側を下にして横になれば食道の下部の締め付けが緩くなって胃酸が逆流しやすくなることがわかっています。上の①~⑤のような状態に関して身に覚えのある方は、是非できるところから改善していただき、薬の治療が終わっても症状が出ずに安定したまま過ごせるように工夫してみてください。
また、生活習慣だけではなく、胃や食道に潰瘍や癌がある場合にも同じような症状が出ることが多いので、気になる方は一度胃カメラで検査してみることをお勧めいたします。鼻から入れる細くて柔らかいカメラなら、オエッとなることもほとんどなく比較的楽に検査を受けていただけますし、不安の強い方は麻酔で眠った状態で検査を受けていただくこともできます。