食道アカラシアに気が付きませんでした
現代社会にものすごく多い病気の一つに逆流性食道炎(胃食道逆流症)があります。胃酸が食道に逆流して食道で炎症が生じるために胸焼け、吐き気、みぞおちの痛み、つっかえる感じ、のどのつまり、背中の痛みや違和感などの症状が出る病気です。胃癌の原因とされているピロリ菌に感染している人が多かった昔はピロリ菌の影響で胃酸が弱くなっていたために食道で炎症が生じる程度が軽かったのですが、ピロリ菌に感染している人がかなり少なくなってきた現代では胃酸が元の通りの酸の強さであるため、食道に逆流すると炎症が生じやすくなります。長い間症状が強く通院されていた患者さんがある時、アカラシアの可能性はないでしょうか、とご自身で言われました。その時点でも過去の胃カメラの所見などから、アカラシアの可能性はあまりないのではないかと思っていました。アカラシアの治療で有名な病院を受診されいくつか検査を受けられたところ、アカラシアの可能性が非常に高いと診断を受けられました。アカラシアとは下部食道の括約筋の機能異常のために生じる病気なのですが、逆流性食道炎とは治療法が全く異なります。今までアカラシアという診断をつけてきた患者さんも数名おられますが、今回は正しく診断できませんでした。まだまだ自分自身精進しなければならないとあらためて思い知らされました。早く症状が良くなりますように願っています。